邉見公雄医師は、終戦の10日前に戦死したお父さんの写真を持参され「これが父です」と。今の政治状況にもふれ「戦争を知っている政治家がいない。ブレーキをかける人がいないおそろしさがある」保団連記者会見での発言(速報版その2)
全国保険医団体連合会(保団連)が8月6日に参議院議員会館内において開催した記者会見に、9条の会・医療者の会から鈴木貴博の代理でTが取材に行ってきました。以下の記事は記者会見の取材から記者の責任でまとめたものです。
特別ゲストとして全自病(公益社団法人全国自治体病院協議会)会長の邉見公雄医師が発言されました。
邉見医師は、ご自身の父親がフィリピンのルソン島のカガヤン峠で赤十字の旗をたてながら傷病兵の治療にあたっていた時に戦死した経験も語りながら、「本当に国民を守るためには戦争放棄、憲法9条しかない」「憲法9条と国民皆保険を世界文化遺産にすべき」と語りました。
邉見医師は、靖国神社の本殿とお父さんが写った遺影を持参され、「これが父です」と紹介されました。また、今の政治状況にもふれ、「戦争を知っている保守政治家がいない。ブレーキをかける人がいないおそろしさがある」と発言を締めくくりました。
会見では、保団連が作成した全国保険医新聞の(2015年8月5・15日号)ポスターも紹介されました。ポスターには邉見医師が登場し、ご自身の経験を自筆でかかれたメッセージが紹介されています。「守りたいのはいのちです。」と大書されたこのポスターには邉見医師の他、足立了平さん(神戸常盤大学短期学部口腔保健学科教授)、笠原浩さん(松本歯科大学名誉教授)、香山リカさん(精神科医)、色平哲郎さん(佐久総合病院地域医療部医師)、土山秀夫さん(長崎大学元学長/長崎大学元医学部長)が〈賛同者の方々〉として登場されています。
(*下の画像をクリックするとPDFで開きます)
私は旧満州国(現中国東北部)ジャムス生まれです。母は私をおぶって満州鉄道、ソウル、プサン経由で下関までようやく帰った様です。中国残留孤児がテレビで出る度に母は四国の実家から「知り合いが出るかもわからんから見とけ」と私に電話で命令します。幼い私が覚えている筈はないのですがーー。母にとって「もはや戦後ではない」という言葉は腑に落ちていないのです。私の父は陸軍々医でした。敗戦10日前にフィリピン、ルソン島、カガヤン峠で傷病兵を守り、赤十字の旗を掲げていたのに鬼畜米英に爆撃され戦死した。大きくなったら仇取れと祖母に言い聞かされ育ちました。私や私の家族、中国残留孤児の様な経験を誰にもさせたくありません。医療は人の生命(いのち)を守るのが仕事です。戦争は医の倫理に最も反する行為です。解釈改憲をするのなら医師の地域偏在、診療科偏在の解消のためにやって欲しいものです。本当に国を守るのなら戦争放棄しかないと考えます。(邉見公雄)
*一部読みやすさを考慮して表記を変えています